Boris x TOKIE Special Interview Vol.1
実際に会ったらすごく距離が縮まった
—新曲“Reincarnation Rose”と“You Will Know”に今回ベーシストのTOKIEさんが参加されているのですが、まずは両者の出会いから教えてもらってもいいでしょうか?
TOKIE:知り合いになったきっかけはEQD(アースクエイカーデバイセス)ですね。Borisの音をまだ聴いていない時に、SNSに上がっていたヴィジュアルを見てすごく気になっていて。同時期にアメリカから日本に帰って来た方と友だちになって、その方がBorisの大ファンでいつも話を聞いていて。そんなタイミングでEQDのパーティーがあって、初めてお会いしました。
Takeshi:確か東京で楽器フェアがあったタイミングでEQDが日本に来ていて、(中尾)憲太郎くんとか、勝井(祐二)さんとかEQDに関わりのある人たちが集まったっていう。
Wata:その時に、シュガー(吉永)さんとも初めてお話して。Buffalo Daughterのことは好きで聴いていましたけど、シュガーさん個人とは面識がなかった。
Atsuo:ドキドキだったよね「有名な人がいっぱいいる!」って(笑)。バンドメンバー全員で参加してたのはBorisだけだった。
—そのEQD主催のパーティーが2018年ということなので、ここ数年の話なんですよね。両者の距離が近くなったスピードが早い気がします。
TOKIE:そうだね。
Atsuo:元々間接的に知っていたり、話を聞いていたりということが多くて、こっちからも近い感じがしていて。実際に会ったらすごく距離が縮まったね。
—実は2013年にリリースされたDead Endのトリビュートアルバム『DEAD END Tri bute -SONG OF LUNATICS-』にBorisもTOKIEさんも参加されていますよね。
Atsuo: Borisは“冥合”というDead End復活後のすごく壮大な曲で参加しています。TOKIEさんは“Serafine”でしたっけ?
TOKIE:そう。
Wata:あ、私好きな曲です。
TOKIE:このときにBorisのこと知っていたら一緒に参加したかった(笑)。
音でイメージしていた人たちと全然違った(笑)
—TOKIEさんは気になっていたBorisに実際会ってみていかがでしたか?
TOKIE:Borisとはとても相性が良いというか…音でイメージしていた人たちと全然違った(笑)。すごく穏やかで、優しくて、美味しい食べ物が好きで。
Atsuo:なんかね、オーガニックな傾向っていうのは相性がいい。
TOKIE:ね!音楽じゃないところの好きなことが似てる。
Atsuo:価値観とか美意識とかね。一緒にご飯食べに行くのも楽しいし。
こんなに上手にお料理出来たらいいな。Tokieさんの手料理ご馳走になってお話もいっぱいしてとても楽しかったです。
— Boris (@Borisheavyrocks) July 23, 2020
Bassもかっこいいしお料理の腕は次元が違うしTokieさん尊敬…。Beetsのポタージュ、フムス、ラタトゥーユ、野菜や車麩のフライ、バゲットまでお手製。幸せな時間でした。wata pic.twitter.com/hCAs0i8KlB
—TOKIEさんと一緒に食事をしている様子がBorisのSNSにも度々登場していますよね。
Atsuo:僕がヴィーガンでTOKIEさんがオーガニック指向だから、ご一緒しやすいんですよね。
TOKIE:うん。それで私がヴィーガン料理を作るのがすごい楽しくなっちゃって。
Atsuo:手料理をご馳走してもらったりね。
Wata:それがすごく美味しいんですよ。
—TOKIEさんはご自身のブログでお料理のレシピもたくさん載せられていますもんね。
Atsuo:それからTOKIEさんのライブを色々観させてもらって。
Wata:本当に色々なジャンルのライブに参加されているから、色んなTOKIEさんを観に行きました。ACE OF SPADESから、Morrieさん(DEAD END)のソロ、LOSALIOSとか。
Atsuo:ポリティカル・マザー(ロンドンのコンテンポラリーダンスの日本公演)とか。行くたびに全然違うタイプの現場で、自分たちの世界とも違うから毎回すごく面白くて。
アップライトが曲にハマるんじゃないかなと思った
—その後、2019年のEQDツアーの初日では新代田FEVERでTOKIEさんをゲストに迎えて“決別”を一緒に演奏されましたよね。“決別”に決めたのはどうしてですか?
Atsuo:TOKIEさんのアップライト(ベース)がハマるんじゃないかなと思って。実際リハーサルでは普通のエレキベースとアップライトと両方弾いてもらったんですけど、やっぱりアップライトのフレットレスでのプレイが、グレースケールが滑らかにずっと続く感じというか、それがすごくハマって「ぜひこっちで」とお願いしました。
Takeshi:めちゃくちゃロー(低音)も出るしね。Borisと被らない帯域のローがちゃんと鳴ってる。
Wata:Borisはチューニングが3音下げだから。
EarthQuaker Devices Tour 2019 at 新代田FEVER (2019.05.26)
Atsuo:通常のベースで参加してもらうと(キーが)上になるんだよね。そうするとBorisの3音下げギターと同じところを弾くことになっちゃうんだけど、アップライトだと下の方にいける。TOKIEさんはそこから更にチューニングを下げてくれて。
TOKIE:そうだね!半音下げたね。
Atsuo:あわよくばそのEQDジャパンツアーの流れでアメリカツアーとかも一緒に行けたらいいなと思っていたんですけど。
TOKIE:ね、私も行きたかったけどコロナでね。
—色々と状況が変わってしまいましたよね。
Atsuo:コロナ禍に突入した時に僕らは『NO』ていうアルバムを録って。その後にTOKIEさんにレコーディングに参加してもらうことになったんですけど、緊急事態宣言中だったこともあって初めて自宅でリモートレコーディングに取り組んでいただいて。
TOKIE:できるようにならないといけないなって思っていたから、色々調べながら録って。
Atsuo:初めて自宅でレコーディングする曲がBorisの20分の曲っていう(笑)。
一同:(笑)。
—Borisから送られてきた曲を実際にレコーディングしてみていかがでしたか?
TOKIE:曲自体がすごく長いのと、“Drone(ドローン)” というジャンルの言葉を聞いたのも初めてで。何回か録って送って「もっとこういう感じ」と返してもらって、それを自分の中で噛み砕いて…みたいなやり取りを何回かやりました。とても勉強になったし、最終的に「これです!」って言ってもらえたので良かったな。
Atsuo:TOKIEさんは毎テイク録るたびに寝込んでたみたいで(笑)。
TOKIE:ヘッドホンして録っていて、曲が長いから自分の低音に自分がやられるっていう(笑)。
これはみんなに喜んでもらえるなっていう感じがあった
—“Reincarnation Rose”はその後にできた曲なんですね。
Atsuo:そうそう。レコーディングと平行してEQDでWataシグネチャーのファズエフェクター“Hizumitas”を作る話が進んでいて。それと新曲を関連付けてリリースできたらという話だったんだけど、最初に録った“You will know”ではまったくファズを使ってないと(笑)。
Wata:使っていても、効果的な使い方がされてない(笑)。
Atsuo:いわゆる“FUZZ”な感じが全然なかったから、そのエフェクターを使ったファズギター全開の曲で先にシングルを作ろうってなって。それが今年の1月の後半かな、TOKIEさんは1月28日にレコーディングして。
—その時にTOKIEさんがベースを弾く動画がのSNSにアップされていましたね。
Atsuo:うん!実際カッコよかったしね。あの動画が本当に“Reincarnation Rose”に使われてるテイクなんだよね。SNSにアップしたらすごく反応が良かったから、これはみんなに喜んでもらえるなっていう感じがあった。
TOKIE:本当ですか、嬉しいなぁ。
今日は秘密のレコーディング。
— Boris (@Borisheavyrocks) January 28, 2021
最高…。
Atsuo#borisheavyrocks @tke4strings @EarthQuakerDev @EarthquakerJP @OrangeampsJPN @OrangeAmps pic.twitter.com/OwBRv74hug
TOKIE:(Hizumitasの)エフェクターのデザインは誰がしたんですか?
Atsuo:一つ前のアルバム『LΦVE & EVΦL』のジャケットをやってもらった斉藤マミさん。
Wata:『Boris(12inch)』のジャケの猫も。
TOKIE:あれすごく素敵。
EarthQuaker Devices Hizumitas
—エフェクターに使われている絵は描き下ろしなんですか?
Atsuo:うん。マミさんも全世界で発売ということもあって「すごいことになってきた!」みたいな感じで描いてくれて(笑)。
TOKIE:いいな〜。自分モデルのエフェクター、カッコ良い。
Atsuo:作ってもらったらいいじゃないですか。
TOKIE:えぇ?(笑)
Wata:TOKIEさんも絶対作ってもらえると思いますよ。
Takeshi:インタビューに載せて、言霊に(笑)。
Boris New Album
Boris / Reincarnation Rose (CD)
Live photo by Miki Matsushima